2025.4/26

包括歯科臨床と咬合療法

包括歯科臨床と咬合療法は密接に関連しており、「お口全体」や「全身の健康」まで視野に入れた診療を行ううえで、咬合(かみ合わせ)の管理は極めて重要な位置を占めています。以下に、その関係性をわかりやすく解説します。


■ 包括歯科臨床とは?

前提として、包括歯科臨床は…

  • 虫歯や歯周病の治療だけでなく、
  • 咬合、顎関節、筋機能、呼吸、舌、姿勢、全身疾患 までを統合的に診断・治療・予防していく歯科医療です。

■ 咬合療法とは?

咬合療法は、単に「噛める」状態をつくるだけでなく、

  • 正しい下顎の位置(下顎位)
  • バランスの取れた顎関節・筋肉・咀嚼機能
  • 全体の歯列の安定と調和 を整え、口腔と全身の機能を支える基盤を構築する治療です。

■ 両者の関係性:なぜ咬合療法が不可欠なのか?

1. 咬合は“口腔機能の土台”

虫歯や歯周病をどれだけ治しても、咬合が崩れていれば再発しやすく、口腔機能は長く保てません。
包括的に診るからこそ、「なぜ壊れたのか?」を考えるために、咬合の診査と再構築が不可欠です。

2. 咬合の不調和は全身へ影響

  • 顎関節症(開口障害、音、痛み)
  • 嚥下障害、構音障害
  • 頭痛、首肩こり、姿勢の歪み
  • 睡眠時無呼吸、歯ぎしり・食いしばり これらは、咬合の乱れと密接に関係しています。

3. 治療計画の根幹になる

包括診療では、**機能的・安定的な咬合を得るためにどのように治療を進めるか?**が治療全体の軸となります。


■ 実際の臨床での統合例

分野咬合療法とどう関係する?
歯周治療噛み合わせの力が不均等だと、歯周組織に過剰な負担がかかり、炎症が悪化する
補綴(被せ物・入れ歯)正しい咬合位を考えた設計で、長持ちする補綴が可能に
矯正治療顎の位置を安定させ、気道や筋機能との調和をとる
顎関節治療下顎位を安定させることで、筋や関節の痛みを軽減
小児口腔発達咬合育成を通じて、呼吸・舌・嚥下・発音の発達をサポート

■ ソアビル歯科医院の診療方針として

ソアビル歯科医院では、包括歯科臨床の実践において、咬合療法を中核的な診療コンセプトとして位置づけています。

  • 精密な咬合診査(顎位、咀嚼筋、関節音、スプリント療法)
  • 噛み合わせを含めた全顎的な治療計画
  • 審美・補綴・矯正・予防との統合
  • 子どもから高齢者まで、口腔機能を守る咬合管理

これにより、単に「治す」だけでなく、「壊れにくく、長持ちするお口づくり」をサポートします。