1)歯科用磁性アタッチメントが有効とされる症例 1多数歯欠損症例の場合
9歯以上の部分床義歯(局部義歯)又は全部床義歯(総義歯)に相当するオーバーデンチャーにおい て,残存する少数歯に磁性アタッチメントを適用することは,義歯の維持・審美性・快適性・負担などの観 点から有効である.
2遊離端欠損症例の場合
片側の大臼歯全て又はそれ以上の欠損があるものについて,欠損に隣在する歯に支台装置として磁 性アタッチメントを適用することは,義歯の維持・審美性・快適性・対応性(修理など)・耐久性などの観点 から有効である.
1,2いずれの場合においても,支台歯数はクラスプを含めて,片顎1~4歯となる症例が一般的
磁性アタッチメントは,
多くの利点がある.
維持力を摩擦や弾性に頼らないため,
維持力の減衰が生じにくく,維持力が既知であり,それ以上の維持力は発現しない.
吸引力により維持するため義歯の装着,撤去が容易であり,支台歯にクラスプがかかるのに比べれ ば審美的,側方力や回転力を逃がすことができるため 支台歯の負担を軽減でき,歯冠歯根比を改善できるといった多くの利点を有する.
しかし一方,欠点も存在する.
磁力により維持力を発揮するため,義歯が支台歯から離れると急激に維持力が低下する,
人工歯排列に不利になることがある,MRI の画像を乱すことが ある,
自浄性の低下といったことが欠点として挙げられる.