包括歯科臨床と咬合療法は密接に関連しており、「お口全体」や「全身の健康」まで視野に入れた診療を行ううえで、咬合(かみ合わせ)の管理は極めて重要な位置を占めています。以下に、その関係性をわかりやすく解説します。
■ 包括歯科臨床とは?
前提として、包括歯科臨床は…
- 虫歯や歯周病の治療だけでなく、
- 咬合、顎関節、筋機能、呼吸、舌、姿勢、全身疾患 までを統合的に診断・治療・予防していく歯科医療です。
■ 咬合療法とは?
咬合療法は、単に「噛める」状態をつくるだけでなく、
- 正しい下顎の位置(下顎位)
- バランスの取れた顎関節・筋肉・咀嚼機能
- 全体の歯列の安定と調和 を整え、口腔と全身の機能を支える基盤を構築する治療です。
■ 両者の関係性:なぜ咬合療法が不可欠なのか?
1. 咬合は“口腔機能の土台”
虫歯や歯周病をどれだけ治しても、咬合が崩れていれば再発しやすく、口腔機能は長く保てません。
包括的に診るからこそ、「なぜ壊れたのか?」を考えるために、咬合の診査と再構築が不可欠です。
2. 咬合の不調和は全身へ影響
- 顎関節症(開口障害、音、痛み)
- 嚥下障害、構音障害
- 頭痛、首肩こり、姿勢の歪み
- 睡眠時無呼吸、歯ぎしり・食いしばり これらは、咬合の乱れと密接に関係しています。
3. 治療計画の根幹になる
包括診療では、**機能的・安定的な咬合を得るためにどのように治療を進めるか?**が治療全体の軸となります。
■ 実際の臨床での統合例
分野 | 咬合療法とどう関係する? |
---|---|
歯周治療 | 噛み合わせの力が不均等だと、歯周組織に過剰な負担がかかり、炎症が悪化する |
補綴(被せ物・入れ歯) | 正しい咬合位を考えた設計で、長持ちする補綴が可能に |
矯正治療 | 顎の位置を安定させ、気道や筋機能との調和をとる |
顎関節治療 | 下顎位を安定させることで、筋や関節の痛みを軽減 |
小児口腔発達 | 咬合育成を通じて、呼吸・舌・嚥下・発音の発達をサポート |
■ ソアビル歯科医院の診療方針として
ソアビル歯科医院では、包括歯科臨床の実践において、咬合療法を中核的な診療コンセプトとして位置づけています。
- 精密な咬合診査(顎位、咀嚼筋、関節音、スプリント療法)
- 噛み合わせを含めた全顎的な治療計画
- 審美・補綴・矯正・予防との統合
- 子どもから高齢者まで、口腔機能を守る咬合管理
これにより、単に「治す」だけでなく、「壊れにくく、長持ちするお口づくり」をサポートします。